「たまひよ」アプリユーザーに、夫の平日の家事分担(育児を除く)について質問しました。最も多かったのは「1~2割」。平日の家事はママが多く担うことがわかりました。夫婦問題に詳しいワーク・ライフコンサルタントの大畑愼護さんに聞きました。
共働きでも、平日の家事は母がメイン
Q.【女性に伺います】 夫・パートナーとの家事の分担について伺います。平日、夫・パートナーの家事分担の割合はどのくらいですか?※育児の分担は含みません。
1~2割 31.3%
3~4割 19.6%
5~6割 19.6%
7割以上 19.6%
0(まったくやらない) 6.1%
その他 3.7%
「1~2割」「0(まったくやらない)」を、含めると「平日の家事はほぼ母」は約4割。「3~4割」も含めると約6割という結果に。実は「7割」も「夫が育休中」など一時的なコメントが多く、多くの家庭では平日の家事は妻が担うようです。
Q.平日の夫・パートナー担当の家事を具体的に教えてください(複数回答)と、質問すると
1位 ゴミ出し(ただしゴミをまとめるのは妻、という声多し)
1位 食器洗い
3位 ごはん作り(時々、という声も含む)
4位 洗濯
5位 風呂掃除
という結果になりました。
Q.【女性に伺います】現在の家事分担に納得していますか?
まぁ納得している 40.2%
納得している 31.7%
少し納得していない 11%
どちらでもない 9.8%
納得していない 4.9%
その他 2.4%
「まぁ納得している」「納得している」を併せると約72%と、高い数字になりました。
アンケート回答者層の約7割は共働きですが、「子どもは1人(妊娠中を含む)」も約7割…というのが気になるポイントではあります。
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コツは感謝する、完璧を求めない 好きな家事を担当する
そこでQ.「夫・パートナーとの家事分担について、うまくいくコツがありましたら具体的に教えてください」と、質問。圧倒的に多かったのは
「互いに感謝の言葉を伝える」
「相手に対しても、自分にも完璧を求めすぎない」
「お互い好きな家事を担当する」
でした。
コメントに寄せられた「夫と仲良く家事分担のコツ」についてまとめてみました。
平日の家事不満は、休日に挽回してもらう
「平日は私、土日は夫と割り切っています」(mii)
「平日の家事参加が難しい分、休日はトイレ掃除や掃除機のフィルター掃除など、平日にはできない細々としたところを担当してくれ、助かっています」(あい)
「不満は溜めるといつか爆発するので、なるべく早めに伝えています。平日はどうしても夫の帰りが遅いので、不満がたまった分は休日にお願いしています」(とももん)
“察して”はNG。やって欲しいことは言葉でちゃんと伝える
「やって欲しいことやお願いする事は、相手に察してほしいと願いがちですが、ちゃんと言葉に出して伝えることが重要だと思います。お互い何をしているのか分かるから、効率よく家事ができるし、喧嘩は減るし、ストレスも減りました」(ぽぽまる)
「私の夫はかなり自主的に家事をしますが、不満が0とは言えません。大事なのはお互いに察してもらおうとせずに『こうしてもらえると嬉しい』『これは嫌だからやめて』と言い合えること、理解し合えることだと思います」(たま)
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「やる?やらない?」ではなく「どっちをする?」と、選択制にする
「○○をするか○○にするか、どっちがいい?と選択させます(笑)」(わっくんまま)
「家事をやっているときに、くつろいだり、スマホをいじられるのはイラっとするので『私はコレをしたいから、その間にコレをやってほしい』と、伝えます。押し付けるのではなく『一緒にやろう!』と、誘います」(みりR610)
「夫の平日家事担当はなんとなく1~2割。やってほしい時は『家事を分担してもらいたいんやけど、何やったらできそう?』と、夫に考えてもらいます。できることからやってもらい、徐々に量をじわじわ増やす(笑)」(ていん)
「疲れているからやりたくない」宣言をお互いに尊重する
「お互いにやりたくない時はやらない。お惣菜を買ったり、掃除は放置したり。どちらかがやる気になる時が必ず来るので、その時まで待ちます」(toonca101)
「勤務時間上、平日はどうしても私の家事負担が大きくなるのは仕方ないと思いますが、『自分ばかりやっている』と、不満が溜まった時は、『やらない宣言』をして一週間くらい代わってもらいます(笑)」(あわ)
「朝から子どもが寝るまで私がワンオペで頑張り、夫が帰宅したら家事は基本夫です。夫が帰ってきたら、私は休めるという感じです」(moco)
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「やり方」「仕上がり」にモヤッとするときは…
「何をもって『不潔』か『清潔』かのすり合わせをし、衛生観念の尺度を一致させておくことが大事だと思います。その先の『やり方』について、こちらは話し合いのつもりでも、相手は文句つけられているように感じでしまうので」(にょんママ)
「気になる部分は相手に注意するよりも、自分が相手のレベルに合わせる。そして自分も完璧にやろうとしない、無理をしない」(ししゃも)
「パートナーのやり方に不満があるのであれば、不満のある人がその家事をすればいい」(ひろ)
共働きや夫婦問題に詳しいワーク・ライフコンサルタントの大畑愼護さんに聞きました。
大畑さんご夫婦も共働きで、第3子出産の際には一家5人でファジーへ育休移住をしました。家事・育児に対する考え方は夫婦で共有できている…と、思いきや、やはり山あり谷ありと色々あったそうです。
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「日本の労働力人口は約7000万人と過去最多を更新中。共働き夫婦の平日の家事分担は重要なテーマに」と、大畑さん
大変恥ずかしい話ですが、かつての私は100時間の残業も厭わない、家族を顧みない仕事人間でした。平日家事時間は0分、全国に出張することも夜中に職場へ行くことも少なくなく、妻は退職して一時期家庭に専念することになりました。
その後、私自身が働き方を180度変えたことで、妻は仕事復帰ができ、共働き共育て家庭として過ごしていますが、今でも当時を振り返ると大きな反省が残ります。
世の中では日本の人口減少が騒がれていますが、実は2024年の労働力人口は7千万人に迫り過去最多を更新※1しています。
特に増加が目立つのは女性で、平日家事分担がこれまで以上に大切なテーマ※2となり議論(時に論争)になっているのは、このような背景もあるからでしょう。
「毎日平等」は非現実的。「2週間単位」で挽回のチャンスを与えるとラクになる
夫婦のモヤモヤの多くは、「なんで自分ばかり?」という“偏り”から生まれます。ただ、我が家も何度もチャレンジしては断念しましたが、毎日完全な平等は現実的ではありません。
仕事の山場や職場の飲み会も重なるもので、1週間のくくりでは難しいかもしれません。
そこで「2週間単位」で見ることをおすすめしています。「今週は出張が続くから来週自分が頑張るよ」「この週はあなたの飲み会が重なるから、前の週は私が入れるね」など、お互いに“挽回のチャンス”を広めに設けておくと、モヤモヤの即時発生が防げますし、予定を共有してサポートし合うやりとりが生まれてきます。
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家事と育児は別と考えて、“家事の借り”は“家事で返す”
理想的な夫婦分担のあり方は、100家庭あれば100通りあります。
ただし、家事・育児は「家事」と「育児」に分けて考えることも重要になってきます。
「自分が休日多めに公園に連れていってる」「相手が料理をしているときに自分は子どもと一緒にいる」だからイーブンだよね!という考え方が、平和な未来につながるケースは少ないのではないでしょうか。
家事と育児の負担の種類は別物。そして、相手が家族のためにやってくれていることが、全て自分に見えているわけはないので、納得のいく借りの返しようがありません。それを踏まえると、家事の借りは家事で返すことがシンプルで不満を抱きにくい考え方なのかもしれません。
家事分担の前にできること
この記事を執筆するにあたり、妻に負担を感じて不満を抱いた時にどう対処しているか聞いたところ、
「言うしかない。あとは外注」
と非常に端的な答えが返ってきました(笑)
妻ほど人生で喧嘩をした相手はいないと自負していますが、不満を感じたらまず相手に伝えることが、はじめの一歩です。逆に私の方が仕事と家庭の両立で不満があっても、ひとりで何とかしようと溜め込んでしまいがちでしたので勉強にもなりました。
河原で殴り合って親友になる——そんな昭和漫画的なノリも、私たちは夫婦の関係を強固にしてくれたのかもしれません。(注:実際は殴り合いでなく話し合いです)
また外注は家事代行だけでなく、食洗機・ドラム式洗濯乾燥機・ロボット掃除機・ホットクックなどの時短神器も指します。
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家事そのものを減らせば不満の種も小さくなる
自社調べですが、食洗器は1週間あたり175分の時短、乾燥機付き洗濯機は1週間あたり161分の時短につながる試算が出ています。
夫婦分担の前に、家事そのものを減らして不満の種を小さくしていく、そして生み出した時間を大切な夫婦の時間・子どもと向き合う時間に充てていきたいですよね。
夫婦の家事分担は子どもたちの未来につながる?
また、もしお子さんがいるのなら夫婦分担の対立議論から離れて、「将来子どもたちにどんな家庭を築いてもらいたいか」という視点を追加することもポイントです。
よくも悪くも家庭というものは再生産される傾向にあります。
子どもたちが大人になったら、いつまでも夫婦円満にいて欲しい、誰かが犠牲にならずに幸せでいてほしい、夫婦で対等な関係性を築いてほしいなどの願いを、夫婦で話し合ってみましょう。
夫婦で協力して家事をする姿を見せることは、子どもたちの素敵な未来につながるかもしれません。
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大畑愼護(おおはた しんご)
PROFILE)
前職では全国を駆け巡る激務をこなし、個人及びチームの業務内容などを見直し・改善して残業時間半減を実現します。その経験を生かして生産性の向上を提言するワーク・ライフバランス社へ転職。コンサルタントとして企業の講演・研修を担当し、東京都「育業の普及促進に向けた啓発事業」選考委員、和歌山県特別職非常勤職員(子育て社員応援アドバイザー)で、メディアにも多数出演。プライベートでは3児の父。前職では激務のせいで一家離散の一歩手前でしたが、こちらも見事に立て直し、第3子誕生の際には1年間の育休をとって一家5人で南国フィジーへ育休移住を決行しました。プライベートではトライアスロンに挑戦するなど、既成概念にとらわれず仕事・家庭・自分の時間の充実を提案する型破りイクメンパパです。
(取材・文/和兎 尊美、たまひよONLINE編集部)
※文中のコメントは「たまひよ」アプリユーザーから集めた体験談を再編集したものです。
※調査は2024年12月、2025年2月実施の「まいにちのたまひよ」アプリユーザーに実施ししたものです。(有効回答数164人)
※記事の内容は2025年4月の情報で、現在と異なる場合があります。
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