たまひよ

書籍『我が子が発達障害だと分かったら絶対に知っておきたいこと』を出版した桃川あいこさん。これまでブログやSNSなどを通じて情報発信を続けてきた桃川さんの初めての著書は、自身の体験談ではなく、発達障害に関する名著100冊の重要ポイントをまとめた内容となっています。今回は自分自身が発達障害の子どもを育てた体験があったからこその初の著書に込めた思いや工夫についてお話を聞きました。2回にわたるインタビューの後編です。


発達障害グレーゾーンの子どもを20年間育ててきた1人の母が、発達障害の関連本100冊を厳選し、重要なポイントをまとめた!


――今回、出版された書籍『我が子が発達障害だとわかったら絶対に知っておきたいこと』は、発達障害の名著100冊の重要なエッセンスをまとめて、わかりやすく紹介した本だそうですね。桃川さん自身も発達障害の子どもを育ててきたそうで。改めて桃川さん自身の経歴を教えてもらえますか?

桃川さん(以下敬称略) はい。もともと私は、発達障害グレーゾーンの子どもを20年間育ててきた1人の母親です。過去には大学で図書館情報学を学び、その後、IT企業に就職した経歴があります。
当時の職場ではソフトウエアに関する技術情報を調べ、初心者にもわかるようにまとめる業務がありました。あまり詳しくない人が「これでわかりやすくなった、助かる」と言ってくれるのがうれしくて、今の原点となる「調べて、平易な言葉で伝える力」をここで徹底的に鍛えました。

――そんな中でお子さんが生まれたんですね。

桃川 はい。もともと育てにくさを感じていたわが子でしたが、小学校入学直前に発達障害があることがわかりました。支援につながるまでの数年間は、少ない情報を頼りに自分たちで工夫し続ける日々。学校では、通常級で工夫して乗りきっていました。

――当時も発達障害の関連本をたくさん読まれていたのですか?

桃川 いいえ。書籍をたくさん読んだのはもっとあとのことです。そもそも発達障害に関連する本が書店にもほぼない時代でした。手に取った本があまりにも難しく感じて、本を閉じたことを覚えています。ふだんの子育てだけでこんなに大変なのに、さらに勉強する負担がつらく感じてしまって…。
ネットで症状名から調べても、「ではどうしたらいいか」という身近さを持った情報が見つからない。

また、子どもがメンタルの病からぐったりしていた時期(前編参照)は、どんなワードで検索したらいいかもわからなかった。それがとても苦しかったですね。「わからなすぎてどうしよう」という不安の渦に飲まれていました。

今回の書籍は、その発達障害の子どもが成人して無事社会に出始めたことをきっかけに、私と同じように「何から調べればいいかわからない」と悩んでいる方が世の中にいるのではないかと思い、執筆するに至りました。この本には「100冊から1冊にまとめた」と書いていますが、実際に読み込んだ関連書は150冊近くとなります。


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