吉本新喜劇の俳優であり、お笑い芸人の宇都宮まきさん。2021年に、お笑い芸人のアキナの山名文和さんと結婚し、3歳の長男・さくちゃんと、2歳の二男・きっちゃんの母として、子育てと家事に奮闘する毎日を送っていります。今回は、宇都宮さんらしい笑いにあふれた妊娠・出産の様子から、毎日大変すぎるという年子育児について聞きました。全2回インタビューの前編です。
子どもの成長は、きっとあっという間!かわいい今を大事にするため、子育てメインで
――男の子2人のママ、しかも年子ということで、忙しい毎日だと思いますが、現在は日々どのように過ごしていますか?
宇都宮さん(以下、敬称略) 今は、長男だけ保育園に通っていて、二男は家で、基本的には私が見ています。長男は2歳のときから保育園に行き始めたので、下の子も同じぐらいの時期で、来年の4月から保育園への入園を検討しているところです。
仕事は、長男が保育園に行っている短時間でできる仕事だけですが、最近少しずつ再開し始めました。その間、二男は母にお願いしたり、ベビーシッターさんにお願いしています。
新喜劇の仕事って、舞台に出ようと思うと丸々1週間続くんですよ。週末はとくに、朝から晩まで舞台が続いて、帰宅も遅くなるので、この状況で新喜劇に出るのは難しいかなと。今は、できる仕事をさせてもらって、あと3年ぐらいしたら新喜劇に戻れたらうれしいなと思っています。
だれに聞いても、「子どもって今が一番かわいくて、気づいたらあっという間に大きくなっちゃうから、絶対に今を大事にしい!」と言われるので、今は子育てをメインにしています。
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笑いにあふれる家族時間がとにかく楽しい!「この人と結婚してよかった」
――長男が保育園から帰って来てからの2人の子と一緒の毎日は、どんな様子ですか?
宇都宮 “地獄の時間”って呼んでます(笑)。保育園から帰ってきて、長男は疲れてるかな?と思うんですけど、それが全然疲れてないんですよ。めっちゃ体力がありあまっていて。
家での遊びでは満足できないみたいで、「外で遊びたい」と言ってくるので、「もう夜だから、ママは公園には行けないよ」と。すると最近、愛犬のおまめの散歩なら外に行けると気づいたみたいで・・・。「じゃあ、おまめの散歩に行こう」と言って、おまめを外に連れ出そうとするんです。
結局、二男をおんぶし、長男の手をつないで、おまめのリードを斜めがけして散歩へ。でも、長男もすぐに「抱っこ〜」となってしまい・・・。そうすると近所の人から、「そんな、前抱っこして後ろおんぶして、犬引っ張ってる人、見たことない!」とか「大丈夫?」などと、心配されます(笑)
今、43歳での年子育児を経験してみて、あと10歳若かったら、子どもたちともっと一緒に走り回れるのにな〜と、申し訳ない気持ちにもなります。
――帰宅後も、夕食やおふろが待っていますね。
宇都宮 そこから夕ごはんが始まりますが、二男はなんでも手づかみで食べている時期で、ごはんを投げてみたり、ぐちゃぐちゃしてみたり・・・。そしておふろももちろん大変で、私もクタクタ・・・。山名くんが帰ってきてくれると一気に楽になるので、今は、山名くんが帰ってくることが1日の中で一番の楽しみですね。「早く帰ってきて〜」と毎日思ってます!
でも、子どもたちが生まれて、山名くんとの絆(きずな)がより深まったのを感じます。この2人を何とかしよう、何とか機嫌よく寝かせるまで頑張ろうという、結束力というかチームワークができた気がします。
――山名さんは、どんなパパですか?
宇都宮 もう、最高です!こんなにいいパパになる人やったんやと、私もびっくりしているぐらい。子どもたちはパパが大好きなんです。もともと、子どもに好かれやすい人ではあったんですけどね。
「なんでそこまで、子どもに好かれるのかな」と思っていたんですけど、山名くん自身が少年なので、子どもたちと同じ目線で楽しんでいるんですよ。子どもたちには、自分のことを“ぶんちゃん”と呼ばせていて、子どもたちが遊んでいると、「それ、ぶんちゃんにもやらせて」と言って入っていくんです。それが、まるで3人の少年が遊んでいるかのようで。大人だったら、子どもに順番を譲ったりするじゃないですか。でも、そうではなく本気で一緒になって遊ぶので、子どもたちにとってはそれがいいのかなと。全力でふざけたり、顔に落書きをして猫や犬になって現れたりと、家では変なことやおもしろいことばかりやっています。
最近よく、子どもたちと私が、パパを取り合うっていうノリをやるんです。「さくちゃんのぶんちゃん」「いや、ママのぶんちゃん」「きっちゃんのぶんちゃん」と、順番にみんなでパパに抱きついてギュウギュウすると、「けんかはやめて!みんなのぶんちゃん!」と、山名くんがめっちゃうれしそうに言うんですよ。普段から仕事でコントをしているので、家の中でもすぐにコントみたいなノリになっちゃうんです。それに、子どもたちもそのノリをちゃんと理解していて、うまい具合に順番に言い合えるようになってきました。
そんなノリが、毎日楽しいですね!山名くんと結婚して、本当によかったなと思います。
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結婚発表直後に妊娠発覚!赤ちゃんを守ることだけを考えて、仕事をすべてお休みに
――結婚してから、妊娠するまでの期間は短かったそうですね。
宇都宮 結婚してすぐぐらいに、すごく具合が悪くなってしまって・・・。レギュラーで出ていた『せやねん!』の番組内で、生放送で結婚を発表させてもらえることになっていたので、その放送までの期間に、お世話になっている先輩方や共演者の方々に、先に報告をしなくてはいけなくて、すごくバタバタしていたんです。それで疲れてしまったのかなと思っていたんですけど。実は、妊娠していたことがわかったんです。
結婚したのが39歳だったので、なるべく早く子どもは欲しいと山名くんとも話していたんですが、こんなに早く授かるとはちょっとびっくりでした。すごくありがたいことなんですけど。
いざ妊娠がわかったら、「どうしよう・・・」という感じで。仕事もあるし、新喜劇の舞台ではこけたり走ったりしなくてはいけないし、ロケがあれば生ものを食べなくてはいけないし。それに加えて自分の年齢的なこともあるので、これではなかなか仕事に集中できないなと思ったんです。
「これはできて、これはできません」というのも、自分の中では嫌やったんです。とは言っても、もし何かあったときに、絶対に後悔するなとも思いました。それで、すごくわがままなんですけど、仕事はいったん全部休ませてもらおうと決めました。
ただ、会社にも、妊娠したことを言わないでおこうと思ったんです。私の年齢のこともあり無事に生まれてくるまで何があるかわからないし、もしかしたら、生まれてこれないかもしれない。そうなったときに、もし発表してしまうと、まわりがすごく気をつかっちゃうかなと。それが私だけならいいけど、山名くんにも気をつかってしまうと思ったんです。お笑いの仕事をしているのに、みんなに「かわいそう」とか、心配してもらうのもちゃうかなと。
休む理由を伝えないといけないので、会社のごく一部の人にだけ伝えました。
――妊娠中の体調はどうでしたか?
宇都宮 妊娠期間はとにかく、赤ちゃんを守ることだけを第一にしようと思って過ごしていました。妊娠が判明する時期に体調が悪かった以外は、けっこう元気でしたね。
ただ、今思えば食べづわりだったと思うんですけど、ごはんの量が増えて、それまであまり食べなかった甘いものも好きになってしまって。ちょうど仕事も休んでいるし、少しぐらい太ってもいいやと思って好きなものを食べていたら、20kgぐらい体重が増えてしまって(笑)。先生からは、「これ以上太ったらダメだよ」と。無痛分娩を選んでいたんですけど、「これ以上太ったら、麻酔が効かないよ」なんて言われてしまいました。
――1人目の出産はどうでしたか?
宇都宮 陣痛がなかなかこなくて、もう出してあげたほうがいいということで、入院して陣痛促進剤を使うことになりました。それで、病院までは山名くんとおまめがタクシーで送ってくれたんです。私が病院に入るとき、いつもクールなおまめが、そのときだけはなかなか私から離れなくて・・・。なんだか、おまめが「頑張れ」って言ってくれてるのかな?と感じました。
立ち会いは、私が希望しなかったんです。コロナ禍というのもあってできなかったんですけど、もし立ち会いがOKでも、立ち会いはいいかなと。1人で産んで、「生まれたよ」と報告したかったんですよね。それに、立ち会いしてもらっても、痛さや大変さは変わらないかなって。山名くんも仕事があるし、「生まれたら言うわ」という感じでした。
出産は、無痛分娩を選んだはずなのに、「これ、どこが無痛なん?」ってぐらい痛かったんですよ。しかも、全然生まれてきてくれなくて。最後は吸引までやって、あと1回頑張ってみて、それでも生まれなかったら帝王切開と言われてしまって。でも、なんとか最後の1回で生まれてきてくれました。出てきた長男は、体重が3800g近くのビッグベビー。妊娠中にいっぱい食べていたら、育っちゃったようでした。
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驚くほどスムーズだった、2人目出産。一方で、誕生した直後は家族みんなが爆睡中!?
――年子で出産しましたが、2人目はすぐに望んでいたのでしょうか?
宇都宮 私は4人きょうだい、山名くんも3人きょうだいで育ったので、絶対にきょうだいが欲しかったんです。年齢のこともあるから、できるだけ早く2人目が欲しいと思っていました。1歳でも早いほうが楽だし、そのほうが子どもたちとも長く一緒にいられると思ったんです。そうしたらありがたいことに、長男が6〜7カ月ぐらいのときに、2人目の妊娠がわかりました。
――上のお子さんが小さいうちの妊娠生活だったと思いますが、どうでしたか?
宇都宮 妊娠がわかる前までは、長男はすごく育てやすかったんですよ。6カ月健診でも、「この子が機嫌悪いところを見たことないぐらい、生まれてからずっとご機嫌です」と言いました。だから、2人目の妊娠がわかったときも、「あ、余裕やな」と思ったんです。
でも、徐々にヤンチャになっていって、妊娠後半はけっこう大変でした。抱っこもしなきゃだったし、授乳もしていたし。でも、妊娠しているからという理由で、長男にがまんをさせることは、できるだけ少なくしようと。
これだけ動いていても、おなかが張ったりといったトラブルはほとんどなくて、意外とタフな妊婦でした。ただ、2人目妊娠時も25kg太ってしまって、また同じように先生に注意されました(笑)
山名くんは仕事が忙しい時期だったんですけど、仕事の合間で時間が空いたときは1時間でも帰ってきてくれて、上の子をおふろに入れてくれたりしていました。
子どもって、「ママがいい!」という子が多いじゃないですか。でもうちの子はパパが大好きなので、パパが帰ってくると大喜び。「パパがいい!パパがいい!」という感じなので、それはめっちゃ助かりました。
――2人目の出産はどうだったんですか?
宇都宮 自宅にいるときに陣痛がきたのですが、上の子がいたので、山名くんにタクシーを呼んでもらって、「行ってくるわ」と1人で病院に向かいました。それが夜の10時ぐらいで、そこから順調に陣痛が進んで、朝の6時には生まれたんです。赤ちゃんが無事に生まれたので、山名くんに電話して報告をしようとしたら、山名くんはまだ寝ていて(笑)。ほかの家族に電話しても、全員寝ていて。先生から「家族にテレビ電話していいよ」と言われたんですけど、「すみません、みんな寝てます」と言ったら、病院の先生も「えっ」って感じでしたね(笑)
2人目は、「無痛分娩って、これやったんや!」と実感できたお産でした。私があまりにも余裕すぎたので、「赤ちゃんが生まれてくる様子、鏡で見る?」と先生に言われて、鏡を見ながら、「これが赤ちゃんの髪の毛か」みたいな感じで、生まれてくる直前までしっかり見ることができました。なんだか冷静すぎて、人の出産を見ているような感覚でしたね。
そんな感じで、無事に1歳3カ月違いで年子を出産することができたんです。
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子どもたちにとってもいいことだと思うから、大人がたくさん遊びに来る家にしたい!
――芸人さんの夫婦ということで、家庭はいつも明るく楽しいのでしょうか?
宇都宮 家族の中で自然と、楽しいことが多くなっているのは感じますね。山名くんが音楽を流して変な踊りをしたら、私も負けじと、変な踊りで応戦して、お互いを笑かしたいというのがあるんです。そうやって、2人が笑かし合っているのを見て、子どもたちが喜んで笑っているという光景が、わが家にはよくあります。
上の子は、最近モノマネも得意になってきて。小籔さんがよく、自宅に遊びに来てくれるんですけど、小籔さんのモノマネをよくやってます。小籔さんが家にきてくれるとか、なかなかないじゃないですか。そういう環境ってすごいことなんだと、いつかわかってくれよという感じ(笑)。
――年子の子どもたちのお世話は大変だと思いますが、ワンオペになるときはどうしていますか?
宇都宮 私の実家がすぐ近くなのと、山名くんのお母さんも、月に一度は泊まりに来てくれるので、家族のサポートで助かっています。それと、信頼できるベビーシッターさんに出会えたのも心強いですね。私の母も高齢なので、母がちょっとしんどいなというときは、ベビーシッターさんに来てもらっています。
山名くんは、「1人で大変やったやろう、ありがとう!おつかれさん」と、いつも言葉をくれるんです。日常の中でも、「あそこで怒らないのはえらいと思う」「あの言い方はよかった」とか、こまかいところに気づいてくれて、私の気持ちを上手に上げてくれるんですよ。それが、子育ての自信にもなっています。
あとは、私の友だちの中には、子育てが終わっている子がけっこう多くて。その友だちが遊びに来てくれます。あとは、後輩もよく来てくれますね。こんな感じで、外とのかかわりを遮断せずに子育てができているし、何より、めっちゃみんなに助けてもらってます!
――いろんな方が遊びにくることは、子どもたちにもいい影響があると感じますか?
宇都宮 それは感じますね。大人がたくさん集まる家って、いいなと思っていて。お父さんとお母さんが、友だちに対してどんな感じで接しているのか、子どもはよく見ているんじゃないかなと。大人同士が優しい会話をしていたり、一緒に楽しそうにごはんを食べたり、そういう姿を見せるのはいいことだと思うんです。
上の子は、1歳ぐらいまではすごく愛想がいい子で、ベビースイミングでも全然泳がずに、隣でウォーキングしているおばさまたちに笑顔で手を振っていて。おばさまたちが「きゃ〜、かわいい」と立ち止まってしまい、そこに行列ができちゃうぐらいでした(笑)
2歳で保育園に入園すると、知っている人と知らない人の区別ができるように。ただ、自宅に来てくれる人は、パパとママの友だちだと思っているので、人見知りはしないですけど、新喜劇の後輩・今別府くんのことだけは最後までビビってました(笑)
二男は山名くんに似て、純粋な少年という感じ。道で私がだれかに「こんにちは」とあいさつすると、一緒になって「こんにちは」とあいさつするような子です。家にだれかが来ると、大人でも子どもでも関係なく、すごく喜ぶんですよ。だから、友だちには自宅にどんどん来てもらって、子どもたちとも触れ合って欲しいなと思っています。
お話・写真提供/宇都宮まきさん 取材・文/内田あり(都恋堂)、たまひよONLINE編集部
40歳を過ぎてからの3歳と2歳の年子育児は、“地獄の時間”と表現するぐらいに大変な毎日。そんな中でも、お互いに気持ちを共有したり、声かけをしたりすることで、山名さんとの絆はグッと深まったと言います。2人の子どもたちは、笑いとノリにあふれた夫婦のもと、そして友人や芸人仲間が多くやってくる環境で、元気でのびのびと育っているようです。
後編では、トミーズ雅さんのひと言がきっかけだったという夫婦のなれそめから、宇都宮さんが新喜劇女優になったきっかけなどを聞きます。
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宇都宮まきさん(うつのみやまき)
PROFILE
1981年、大阪府生まれ。お笑い芸人。2000年にWヤング・平川幸男さんに弟子入り。2001年に吉本新喜劇に入団し、若手マドンナとして活躍。2008年には、貧乏な生い立ちを歌った『今宵、なすびで。』をタモツ&マキの名義でリリース。2021年7月、『せやねん!』で、アキナの山名文和さんと結婚したことを報告。2022年4月には第1子となる男の子、翌年6月には第2子となる男の子を出産。
●記事の内容は2025年7月の情報で、現在と異なる場合があります。
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