吉本新喜劇俳優であり、お笑い芸人の宇都宮まきさん。2021年に、お笑いコンビ・アキナの山名文和さんと結婚し、3歳の長男・さくちゃんと、2歳の二男・きっちゃんの母として、子育てと家事に奮闘する毎日を送っています。今回は山名さんとのなれそめについて、また、貧しかったという幼少時代から吉本新喜劇俳優になるまでについて聞きました。
全2回インタビューの後編です。
トミーズ雅の言葉で急接近!初めてのデートは、おまめも一緒に自宅でおせちを
――山名さんとおつき合いするきっかけから結婚までのことを教えてください。
宇都宮さん(以下、敬称略) 『せやねん!』という関西の番組で、山名くんとはずっと共演していました。その本番が始まる前の前室でトミーズ雅さんが、「この中で結婚していないのはまきちゃんと山名だけだから、おまえら、結婚せい!」と言ったんです。雅さんからしたら、軽い冗談のつもりで言ったと思うんですけど。
「どうやねん、まきちゃん」と聞かれたので、「全然いいですよ〜」と私も軽いノリで答えました。それで、「まきちゃん、ええの?山名はどうやねん」と聞かれた山名くんは、「いいですよ」と言ったんですよ。私、山名くんは絶対に「僕、嫌です」って言うと思ったので、きっと私を傷つけないように言ってくれているのかなと。そんなひと言から、「ええ子やな」と思いました。
「2人ともええなら、おまえら、まずデートせい」と、雅さんもノリノリに。実はそのとき、アキナのM-1グランプリの決勝進出が決まっていて、決勝の直前だったんです。それで、「M-1で優勝したら、絶対に結婚や!」とも。そんな感じで盛り上がりながら、その日の本番を迎えました。
本番中も隣の席だったので、ちょこちょこ2人で話をしていたら、「僕、お正月のおせちを買ったんですよ。犬と2人暮らしで、犬は食べられないのに2人前買ったんです」と言ってきたんです。後になって、「これって、誘ってきているのかな?」と気になってしまって。生放送終わりに、「私、食べに行くわ」と思いきって言ったら、「いいんですか?食べにきてください!」と言ってくれました。
それで、おせちを食べに行ったんです。山名くんの愛犬であるおまめをなでながら、山名くんの家でおせちを食べているのが、非日常すぎて。ドキドキしながらも楽しかったです。
そこから、ちょくちょく2人であちこち遊びに行きました。一緒に遊んでいるとめっちゃ楽しいし、山名くんはすごくいい子で。私のほうが先輩なんですが、私からつき合おうって言うと、断りにくいかな?と悩んでいたんです。それで、「お試しで、1回つき合ってみいひん?」と、向こうが断りやすいように軽い感じで言ってみたら、「え、つき合います!」と即答!「え、いいんや〜」と驚きました。
――雅さんからのひと言がある以前から、お互いに意識はしていたんですか?
宇都宮 お互いにまったくなかったですね。同じ番組で毎週会う後輩という感覚でした。だから、雅さんの言葉がなかったら、2人で遊ぶこともなかったし、ましてやつき合うなんてこともなかったと思います。
山名くんは本当に穏やかで無邪気、少年みたいに純粋な人。山名くんとつき合ってからは毎日がすごく楽しかったし、心が安らいでいました。
ほんまに、雅さんのおかげで、いい人と結婚できたなと思っています。
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夫の好きなところは、少年のように笑う顔と、好きなことにまっすぐなところ
――愛犬のおまめとも、すぐに仲よくなれましたか?
宇都宮 おまめは、私たちがつき合う半年前に、山名くんが保護施設から引き取った子で。だから山名くんも、ワンちゃんとの生活が始まったばかりのころだったんです。
おまめは本当にいい子で、全然ほえないし、「え、この子、ほんまに犬か?」と思うぐらい(笑)。私もすぐに大好きになりました。もし、山名くんの家で2人きりだと、私も緊張していたかもしれないんですけど、おまめがいたことで場がなごんだし、私たちの仲を取りもってくれたように思います。だから、おまめにもすごく感謝ですね。
――山名さんの好きなところはどんなところですか?
宇都宮 私、いつもその質問をされると、「顔」って答えるんです(笑)。山名くんはいつも、「そんなわけないやん。俺の顔好きになるわけないやん」って言うんですけど。
でもこれは本当で、山名くんの笑った顔がめっちゃかわいくて、子どもみたいな笑い方やし、口開けてよく笑うので、その顔が好きなんです。
そして、山名くんの好きなことに対してまっすぐな思いがあって、それに向かっての探究心がすごいところを尊敬しています。たとえば、最近は書道に興味があったり、小説を書いてみたり。好きなことをするために、どう努力をしようかいつも考えているんですよ。
――山名さんの、そういうところを見て刺激を受けることはありますか?
宇都宮 私自身は、好きなこととかがあまりない人間なんです。だから、好きなことに対してまっすぐに努力をする姿を尊敬します。
自分って何が好きだったのかな?とか、何に一生懸命やってきたんやろうと、自分についてよく考えるようになりました。そう思うと、今、子どものためにいろいろとやっているのが一番楽しいし、自分にとっては、子育てがそれなのかなと思います。子どもと一緒に過ごしている時間が、好きだなと思います。
私、山名くんに影響されて、今、資格を取りたいなと思っているんです。これまで何も持っていなかったのですが、子どもが生まれてから、いろいろ考え方も変わって。YouTubeで宣言しちゃったので、頑張って勉強して、取得できたらみんなに発表しようと思っています。
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お世話になった人のためにも、「絶対に頑張らな!」と思った
――宇都宮さんはもともと、芸人になりたいという夢をもっていたのですか?
宇都宮 「東京に行きたい」とか「芸能界に入りたい」というような、漠然とした興味はありました。でも、あまりにも漠然とした夢だから、親は心配して、「何にもないのに、東京行ってどうする」みたいな感じだったと思います。それだけ舞台に出たいんだったら、大阪でできることはないかと親がいろいろ調べてくれて、知り合いの紹介で、吉本興業のWヤング・平川幸男師匠の弟子になることになったんです。
でも当時は、漫才をしたいとか、お笑いをしたいとかいう気持ちは全然なかったです。私も、嫌やったらやめたらいいやと思っていたんですけど、実際に弟子になってみたら、これがすごく楽しかったんですよ。
新喜劇の人たちが舞台を終えて、みんなでワイワイしながら階段を上がってきて、その姿がとても楽しそうで。そこから、新喜劇を舞台袖で見させてもらって、だんだんと裏側のこともわかるようになっていきました。そのうち、「新喜劇に入りたい!」と思うようになっていったんです。
今は新喜劇に入るのも、オーディションを勝ち抜かないといけないんですけど、私が入ったときは、久々の新人加入だったそうで。しかも、師匠から「この子、入れたってや」という感じで入れてもらえるという、完全なる超コネ入社。だから、師匠にもまわりにも迷惑をかけられないし、絶対に頑張らなという気持ちがありました。
新喜劇に入ってから、19歳から出番をいただけて、25歳ぐらいから関西のテレビにも出させてもらえるように。そう思うと、すごく恵まれた吉本ライフだったと思います。
――幼いころは家が貧しかったそうです。そのような経験は、今どう影響していますか?
宇都宮 家が貧乏でよかったなって思います。貧乏だったから、子どもなりにいろいろと気づかいができたんじゃないかなと。4人きょうだいだったんですけど、なんでも4人で分け合ったりしていました。そういう経験って、いいことじゃないかなと思います。
今、自分が親になって感じるのは、お金がない中での子育てって、本当につらいこともたくさんあっただろうなと。それでも、私たちがやりたいと言った習い事はやらせてくれたし、本や図鑑なども買ってくれました。やりくりをして、私たちきょうだいにお金を使ってくれていたんだなと思うと、親には本当に感謝です。
私が芸能界に入りたいと思ったのも、芸能人になればお金が稼げるんじゃないかと思ったからなんです。親に何か買ってあげたいとか、おいしいものを食べさせてあげたいという気持ちが強かったですね。
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子どもたちや家族の姿を残しておきたいからと始めた、YouTubeチャンネル『山名家の日常』
――YouTubeチャンネル『山名家の日常』は、ママたちにも人気のようです。始められたきっかけがあったんですか?
宇都宮 私が2時間ぐらい仕事の日があって、その間、山名くんが二男と過ごしていたんです。そのときに、アキナのYouTubeチャンネル『アキナいチャンネル』で動画を撮ろうと思ったみたいで。育児をしているところを撮って、そこに自分でナレーションを入れたら、それがすごく楽しかったようなんです。「めっちゃ楽しいから、山名家の日常だけを撮るYouTubeを始めたいんだけど、どう?」と相談されました。
私は、子どもたちが大きくなったときに、YouTubeで撮っていた動画が思い出ビデオになるな、それってめっちゃいいなと思ったんですよね。そこに、私の母親とか、山名くんの両親がちらっとでも映っていれば、もっと先になったときに、映像に姿が残ってくれるのはいいなと。それで、「やりたい!」と伝えたんです。
私的には、思い出ビデオのつもりでやっています。今、数カ月前の動画を見ても、もう子どもたちが小さく感じるんですよ。子どもたちも動画を見て、「ここに行ったね!」などと話してくれます。反響もけっこうあって、街中でも、ママ世代の方から、「いつもYouTube見てます!」と言っていただけることも多くなりました。急にママ友がいっぱいできたような気になっています。
あの動画は、本当に素のままのわが家の日常。もし、取りつくろって撮っていたら、「あれ?こいつ、いつもと違うんちゃう」と、後から子どもに思われそうで、それってめちゃ恥ずかしいじゃないですか(笑)
そのままの日常なのでおもしろいことなんて何もないですけど、山名くんのナレーションが入ることで、なんだかちょっとおもしろく仕上がっているんですよ。
――母親になって、考え方が変わったなと思うことはありますか?
宇都宮 今まで、自分のことしか考えてこなくて、自分が“主人公”で生きてきたんです。でも、子どもが生まれて、こんなにも自分がどうでもよくなるんだってびっくりしています。これほど大事な存在が現れると思っていなかったので、子どもに恵まれてよかったなと思います。
そして毎日考えるのは、子どもたちの将来のこと。もし自分が死んでしまっても、子どもたちがひとり立ちして生きていけるように、どうやって育てればいいんだろうと、それをすごく考えるようになりました。かわいいかわいいだけじゃなくて、強く生きていってもらえるように、いろいろなことを教えてあげないとなと思うんです。
山名くんも、そういうのを一生懸命に考える人なので、2人で一緒に考えてます。でも基本的には、楽しいことが好きなアホな2人なので、「そのためには、キャンプちゃう?」「そやな、じゃあキャンプ行かな!」と、どうしても遊びの方向に向かっていっちゃうんですよね(笑)
めちゃめちゃ嫌われるよりは、みんなに好かれる子になってほしいし、めちゃめちゃ貧乏よりは、そこそこのお金を持ってほしい。すごく嫌なことが起こるよりは、楽しいことが起こってほしい。そのためには、自分の気持ちの持ちようが大事だと思うんです。だから、「こういう考え方もあるよ」「こういう考え方なら乗り越えられるんじゃない?」と伝えながら、精神面で強く育ってほしいです。強くて、ちょっとのことではへこたれなくて、それでいて優しかったら最高ですよね!
お話・写真提供/宇都宮まきさん 取材・文/内田あり(都恋堂)、たまひよONLINE編集部
上京して芸能界に入りたいという夢が、いつの間にか地元・大阪で吉本新喜劇の俳優になり、そして運命的に山名さんと結婚した宇都宮さん。現在、3歳と2歳の年子育児をする中で、貧乏な生活ながらも自分たちの好きなことをさせてくれたという親御さんにあらためて感謝する日々。そして、山名さんの生き方や考え方に刺激されて、さらなる夢に向かって頑張っているそうです。
クスッと笑いたいとき、何かに癒やされたいときは、『山名家の日常』をぜひのぞいてみてくださいね。
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宇都宮まきさん(うつのみやまき)
PROFILE
1981年、大阪府生まれ。お笑い芸人。2000年にWヤング・平川幸男さんに弟子入り。2001年に吉本新喜劇に入団し、若手マドンナとして活躍。2008年には、貧乏な生い立ちを歌った『今宵、なすびで。』をタモツ&マキの名義でリリース。2021年7月、『せやねん!』で、アキナの山名文和さんと結婚したことを報告。2022年4月には第1子となる男の子、翌年6月には第2子となる男の子を出産。
●記事の内容は2025年7月の情報で、現在と異なる場合があります。
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